「……と、まぁ私がマリーやジルバさんから聞いた馴れ初めはこんな感じね」


「……私がローズから前に聞いたものとは違うようですが…」



何の話がきっかけになったのかはすでに曖昧だが話の流れでローズの両親の話になり、母上と父上がどうやってしりあったのか、どんなことをしたのかという話になり、いろいろ聞かせてもらったわけだが。


所々は重なっているところはあるが、これは最早ローズの覚えている両親と父上たちが知っている人たちとは別人なのでは?と思えるほどに違う。


思わず無言になる私に父上は楽しそうに笑う。



「ジルバはローズのことを殊更に可愛がっていたからなぁ。情けないところは見せたくはないと軽く脚色をつけて話していたのだろう」


「軽く、ですか…?」


「…あいつは感覚がたまにずれていたからな」



どこか納得するように頷く父上だが私は意味がわからずに困惑するしかなかった。


私もほんの幼い頃に一度出会っているらしいが残念なことに覚えていない。子どもだったから仕方がないのはわかっているが惜しいと感じてしまう。彼女の両親ならとてもいい人たちだったと思うから。



「そういえば、貴方には見せたことがなかったかしら」



何かに気づいた母上がおもむろに立ち上がってどこかに向かうので私と父上もついていく。とは言っても父上はどこに行くのかはわかっているようだったが。