それからは慣れないながらもジルバとたくさんの国を回っていろいろなものを見て回った。喧嘩もしたし危ないことも片手じゃ足りず、傷つけることも傷ついたこともあったけど、檻の外の世界は目が眩むほどまぶしくて綺麗だった。


人の醜さとか汚い部分も見てしまったけど、それも生きていてこそなんだと思ったら知れてよかったと思ったし、愛おしいと思えた。どんな些細な事でもジルバと一緒だったら幸せだった。



「マリー、そろそろ次の町に着くけど、今度はどのくらい過ごそうか」


「少なくとも1年はここで生活するわ」


「えー……長くない?」


「仕方ないじゃない。妊娠初期段階であまり動くと危ないって聞いたんだもの」


「へぇ、そうなんだぁ。……ん?今なんて言ったの?」


「なんて言ったのかしらね」


「えっ?妊娠って言ったよね?えっ、マリーお腹に赤ちゃんいるの?!そうなの??!」



仰天してあたふたと慌てる姿にここまで黙っていて正解だったと笑ってしまう。



「ひどいよマリー!!」


「ごめんね?でも、そういう貴方が大好きよ」



クスクスと笑えば拗ねたようにそっぽを向くジルバの腕をとって町に向かう。


これから何があってもきっとわたしは最後の時まで幸せだと胸を張って言えるだろう。願わくば、今は蕾どころかまだ芽吹いてもいないお腹の中の命もわたしのように幸せな人生を送れますように。