つまりわたしらしくもなくごちゃごちゃうじうじつらつらと言ってはみたけど、わたしも何も知らない不思議でマイペースな旅人が結構、いやかなり好きだっていうことだ。うぅ、わたしの中の乙女が恥ずかしさで悶絶してる…っ
「っと、今は話をしてる場合じゃないかな?」
遠くから聞こえるざわめきにハッとする。そうだよ、今は悶絶している場合じゃない。一度目は逃れられたからと言って次に捕まったらもうこの人とも会えなくなってしまうかもしれない。
もし叶うのなら、わたしを迎えに来てくれたこの人と一緒にわたしは生きたい。そのためにできることならなんだってする。
「わたしはどうすればいい?」
わたしにできることなんてせいぜい隠れるか逃げるかしかない。体力ないから逃げるのも最後までもつかどうか微妙なところだけど…でも目の前にいる人からはそういう焦りなんて感じられなくて。
過去の旅の話を聞いていたときこの人は何度も危ない目に遭っていたみたいだけどここにこの人がいることが答え。わたしには想像もできないけどこの人なら多分今の状況も危険というほどのものではないのだろう。
真面目な顔で問いかければキョトンとしたあとに少し困ったように不安がるように旅人はおずおずと口を開いた。
「えーっと……俺のこと信じてくれる?」
今度はこっちがキョトンとする番だった。え、信じてくれるって、はぁ?
「そんなの当り前じゃない」
むしろ貴方を信じないで誰を信じるのよ、と呆れたように言えばたれ目がちな瞳を丸くして驚く。そこまでか。


