ドクン、ドクンと自分の心臓の音がやけに大きく聞こえる。やった…やった、やったやった!!よっしゃああぁっ、第一関門クリア!!!
自然と歓喜に顔が緩んでしまうがそれも仕方ないことだと自分に言い今は感情を素直に受け取る。でもまだ油断はできない。この距離なら馬車ですぐに見つかったら連れ戻されてしまう。
どこに…どこに行けばいい?どこまでいけばいい?どこに行くべき?考えろ、これからどうするか考えるんだ。わたしにできることなんてほんの少しでそれを諦めてしまえばすぐにまたあの不自由で窮屈な檻の中に逆戻りだ。
でもわたしには立派な学があるわけでもなく、考え付くのなんてきっと一般論だけ。でも、それでも実行に移さなければ待っているのはやっぱり檻の中に行く未来。前のときは楽観的に捉えていたところもあるからすぐに連れ戻されたけど、今回はそんなへまはしない。慎重に、それでいて素早く行動しなくちゃ。それだけは学ぶことができたからよかったと思う。
周りの声に耳を傾けながら来たのは国境沿いにある検問の近く。安直な考えかもしれないけどこの国にいるよりは隣の国に行って亡命ってことで姿をくらますのが一番いいと思う。運のいいことにここは物流が栄えていてどこかの商人の部隊に紛れてしまえばいいし。
ただ1つ懸念があるとすればわたしが逃げ出したことに気づいた監視がわたしを探すために見た目の情報とか拡散してたら多分商人も断るだろうけど……そこらへんの情報は今のわたしじゃどうやっても手に入らないだろうし運に任せるしかない。


