その日の時間割は好きな授業ばかりだったのに、集中できなかった。
一日中、今日の宿泊先を考えていた。
一番後ろの席だったから、こっそりスマホをいじって検索してみたのだけど……。
「はぁ……」
「杏ちゃん、さっきからため息ばっかり」
お昼休み。
花音と昼食を向かい合わせで食べていたら、花音が顔をしかめていた。
慌てて口をおさえる。
「ごめん。考え事してて」
「ついに警察になにかされた!?」
ついに、って……。
花音、警察嫌いすぎじゃない?
「違うよ。やっぱ交番って居心地悪くって、今夜はカプセルホテルに泊まろうかなって」
「なんだぁ……あれ?じゃあなんで悩んでるの?」
「未成年は泊まれないの、ホテル」
調べてみたら、未成年でも泊れるホテルは親の同意書が必要だった。
同意書など持ってないし、持っていたら1日目からそうしていた。
そうなれば、もう、年齢詐称しか……。
同世代の子より身長は高めだし、できなくはないと思う。