エスケーピング


いた。


2組の一番後ろの棚に寄りかかるふわふわ黒髪の女の子。


間違いなく、花音だ。

私を見つけた花音がこちらに手を振っている。


「おはよ~」

おはよ~、じゃないってば。


なんだか呑気な花音の一番近くの席には、誠也くんが座っていた。

誠也くんと目があうと、誠也くんは、花音の言葉を補うように話始めた。