エスケーピング




実はこの人が、カプセルホテルに入ろうとしていた私をここまで連れてきた。

新米ゆえの正義感からだろうけど、迷惑だ。


2日間、ここで寝泊まりさせてもらったが、平谷さんは私のことを気にしてくれていて、非番の日にも来てくれた。

迷惑、とはいえ、すばらしい警察官だと思うよ。


「それでさ」

滝沢さんが私の顔色をうかがうように見た。


「蘭ちゃんは今日も泊まるのか?」

「……できれば」

「わかった」


滝沢さんは他人だけど、穏やかな雰囲気があった。

物腰が柔らかいといえばいいのか。

あの日。家出少女を責めるでもなく、そういうこともある、とここに泊めてくれたのだから。