僕らの初恋青春譜










「病院に着いてからは、病院先生に"ただの、脳震盪(のうしんとう)です。¨って言われてひとまず安心したの。で、元々私たちが住んでいる所には大きな病院が無いものだから隣町にこれから頭の検診に来るのも大変だから…ってことになって引っ越したの。」













今度はるーちゃんが口を開いて語り出してくれた。














「そっか。そうゆう事情なら引っ越した訳が分かったけど、何でもう1回、前いた家に戻ろうと思ったの?」













ちょっと疑問に思っていた。だって、もう1回戻ったら黒澤君や遥とどこかで会うことを想定していなかったのかなと。















「それは…。事故の後の2年間の生活の中で和恋が海斗君と遥ちゃんにひそかに会いたいという気持ちを募らせているんじゃないかなって思ったからよ。でも、その時は思わなかったわ。和恋は2人の記憶が無いってことにね。」














るーちゃんの方を恐る恐る見てみると目がウルウルとしていた。きっと、引っ越すということに仕方がないと思いながらも罪悪感を感じていたのだとその時、初めて私は気づいたのであった。