「あの……私は……」
どう返事をしたらいいか戸惑っていた。
ギュッと奈々恵の服の裾を掴む。
そうしたら総支配人がこちらに来る。
ビクッと肩が震えた。
「本当にすまないと思っている。
君が良ければ……これからでもいいから
もう一度俺にチャンスをくれないか?
再度気持ちを伝えるチャンスがほしい」
真剣な表情で言ってくる。
総支配人……。
「ほら、若葉」
奈々恵が私を前に出してくる。
目の前に総支配人が……
心臓がドキッと大きく高鳴る。
顔が見えない。
「あの……分かりました」
どうしたらいいか分からなくて思わず
承諾をしてしまう。
そんなに悲しそうな表情ながら真剣に頼まれたら
困るとも言えなかった。それに……
「本当か!?」
パアッと一瞬嬉しそうに微笑む総支配人。
うっ……また、あの微笑みが!!
彼にその表情をされると弱い……。
そんな嬉しそうに微笑まないで……気持ちが
ざわつくから。
結局、私は、総支配人に
改めてやり直すことで片付いた。
失恋したばかりなのに……



