「嘘っ!?何でそう思ったの!?」
奈々恵の言葉に驚いて聞き返した。
何で……分かったの?

「だって、総支配人。
こちらに来る時……いつも若葉を見ていたもの。
あんたは、気づかなかったかも知れないけど
あれは、熱い視線だったわね」
ニヤリと笑いながら言ってくる。

熱い視線……。
まったく気づかなかったけど、そうなのだろうか?

「まぁ若葉は、鈍いから」

「で、でもだったら総支配人が
私を好きになる理由ってなに?
あんな綺麗な婚約者をフッてまで私を選ぶ理由が
分からない」

私の頭の中では、限界だった。

「そんなの私も分からないわよ。
本人に直接聞いてみたら?」

「聞いたけど……何だかうやむやになっちゃって
それに困るわ。私には、小山さんが好きなのに」

そんなことを突然言われても困る。

「あんた……まだそんなことを言ってるの?
いいじゃない。総支配人で
お得物件なんだから、ささっとくっつきなさい」
奈々恵は、呆れたように言ってくる。

人の恋を簡単に言わないでほしい。
例えお得物件だとしても
好きでもない人と付き合うなんて考えられない。