「タオル、シャンプー、リンス…あと石鹸。


お弁当入れて…」


今日から合宿。


なんでもクラスの絆を深めるためだとか。


でも、入学直後にあって間もない人と泊まるのはあまりよろしくない。


だって知らない人に裸を見せるなんて…


恥ずかしすぎる。


「よし、行こう。」


荷物を持つと、ずっしりとした重さが腕にきた。


かなり重たい…


ゆっくりだけどなんとか駅前の時計前に来た。


まだあいつは来てないみたい。


「一人で行ってもいいけどあいつ怒るし…」


思わず出てしまう独り言。


不思議そうな顔で通りすぎていく同じ制服の人達。


また無駄に目立ってしまった…


「おい。」


「痛い…」


頭に衝撃。


目の前にあきれ顔の永戸 佑樹(ナガトユウキ)が立っていた。


こいつは昔からの腐れ縁。


唯一同じ中学の人。


「お前なんなのその荷物。」


肩にある鞄を指差し佑樹は聞く。


「絶対二泊三日以上あるだろ。」 


「ぴったり二泊三日だけど?」


「俺のと比べてみろよ。」


佑樹の荷物と私の荷物…


確かに佑樹の方が軽い。


「別にいい。


重いに越したことはないから。」


「はいはい。」


「それ私の荷物。」


私が苦労して持っていた鞄を軽々と肩にかけた佑樹。


「いいんだよ。


あとでジュース奢ってもらうから。」


「なにそれ。」


とはいえ、明らかに軽くなった荷物。


ジュースくらいなら奢ってもいいかも…