それから私たちも海に行った。

私は泳ぐの好きだけど、身長的に
深いところまで行けないと言うと、
龍は一緒に浅瀬で遊んでくれた。

そのあと色んなたわいもない話をした。
どこの小学校か、部活はしているのか。
もちろん、家族の話もした。

龍「紫乃ん家は、何人家族?」

紫「三人家族だよ、
お母さんとお兄ちゃんと私。」

龍「…そっか、だから瑛虎先輩は
あんなにしっかりしてるんだ。」

龍はお父さんのことを聞いてこなかった。
きっと私のことを考えて
聞かないでくれたんだと思う。
うれしくて、
胸が締め付けられてとても苦しかった。

紫「私のお父さんは私が生まれる前に
交通事故で亡くなったの。
写真でしか見たことないけど
すっごくかっこよくて、笑顔が素敵で
きっとすごく、いいお父さんだったんだ
なって、思うの。」

龍「うん、紫乃のお父さんだもん、
絶対いいお父さんだよ。
話してくれてありがとう。」

そう言うと龍はあたしの頭を少し、
撫でてくれた。
それが妙にくすぐったくて笑ってしまった。

紫「ふふっ、龍こそ、ありがとね。」


そして、お昼も一緒に食べて
ずっと一緒にいた。