「それ……あんた!早く行きなさい!!」


その手紙を見たとたん、母は血相を変えて僕を怒鳴った。


「は?どこに……」


「知らないわよ!いいから行きなさい!」


母の気迫に押されて、僕は家を飛び出した。



勢いで出てきてしまったが、行く宛がない。



……とりあえず、駅に行こう。


そう思った僕はシルバーブルーの自転車にまたがった。


バイクの方が楽だとは思ったが、三ヶ月前に事故を起こしてから乗っていない。



父のバイクを横目に見ながら夕暮れの町にこぎだした。