しばらくしてからだった。遠くに彼女の姿が見えた。僕は凄く嬉しくて跳ね起きた。だけど、隣に見慣れない男性が立っているのが見えて、少し寂しくなった。
彼女は僕のそばに来ると、男性と何やら話した後に僕のところに来た。

「やぁ、半年ぶりだね。元気してたかい?」

「………」

「あの男の人は君の彼氏さんかな?これは完敗。僕よりずっとイケメンじゃないか」

「………」

「ああ、そうそう仕事はどうだい?この間やってきたおばちゃん達が、不景気だとか言ってたけど大丈夫なのかい?」

「……おかげさまで私は元気にやってます。仕事も板に付いてきたし、これからもっと頑張るつもりだよ。今日はね、大事なお話があって来ました。改めて紹介するね。私の彼氏です」

彼女の言葉に合わせて男性が影から出てくる。

「はじめまして。彼女よりお話は聞いておりました。このような形での対面となってしまったのは、少々残念です」

「ご丁寧にありがとうございます。それで、大事な話というのは?」

「あのね…私達、結婚する事にしたの」

衝撃が走った。雷に撃たれた事はないが、例えるならそれくらいの衝撃だった。自然と寂しさが込み上げてきた。だけど、僕は彼女にとっては過去の人だ。いつまでも引きずっていてはいけない。僕は彼女を、いや、彼女達を祝福しなければならない。

「そっか…おめでとう。やっと、過去を拭えたんだね。前を…向けたんだね。だったら、僕の事なんてもう忘れて、前だけを見て、幸せになるんだよ。そして、何十年か先にもしもまた会えたのなら、その時はたくさんお話を聞かせてね」

「ありがとう。本当はね、あなたと一緒になりたかった。だけど、それは今日まで。これからは彼と共に歩んでいきます。だからね、だから………………」

彼女の目から涙がこぼれ落ちた