実家にある私の部屋で彼は一生懸命式場を探していました。そんな彼の横顔を風が優しく撫でていきます。風鈴の音が「チリン…」と鳴りました。

「ねえ」

「なんだ?」

彼はこちらを見ずに答えました。

「もう一人、挨拶して欲しい人がいるんだけど…いいかな?」

「…………いいよ」

彼は私の顔を見て、一瞬だけ悩んだ末に頷きました。彼は服装を整えると、車を出しに出ていきました。私は部屋の引き出しから荷物を纏めると、彼の後を追いました。