何だったんだろう、さっきの人。


からかわれてたのかな。





ぼんやりとしながら鍵を探す。





かっこいい人だったな。


でも、不思議な人だった。





いつもの部屋へと続く階段、いつものカバンのポケットに鍵、帰るという動作は無意識に体が覚えてる。







―――…ムベ。




あまり馴染みの無い響きなのに、何故か耳に残ってる。







ガチャリ。


「ただいまー」







まぁ良いや、きっと明日には忘れてる。


なんて思った矢先の事。







「おかえりー」






見に覚えのない、「おかえり」が聞こえた。