草食系淫魔(仮)

綺麗だな、と言うのが素直な感想だった。



遠目からも分かったさらさらの黒髪に加え、同じようにしっとりと濡れた漆黒の瞳。


陶器のように白く美しい頬、薄く開いた唇、ほんのり覗く紅い舌。



と、後々理性的に感じた部分は多々あったのだが、とにかく目が合ったその瞬間、私の意識は奪われていた。













「…………ん、採用かな。」








羽根のようにふわりとした、やさしい声が聞こえた。



やさしい、声だと思った。



男性の声には似合わない表現だろうけど。