Turquoise Blue 〜空色のベース〜

『ベース  大きかったね』


その台詞で
我に帰って
カッとする



「歌うまい人は余裕でいいですね」








− 沈黙してる


…………でもホントに
そう思ったから。

…あの後、バンドの人
いっぱい出てきたけど
CheaーRuuが1番上手かった




「悔しかったんだ おまえ

…『Azurite』好きなんだね 」




「な…何で皆揃って、
同じ事いうんですかね?!
………好きじゃないです!


たまたま流行ってて…
友達と、話題合うから
それが超重要なんです

バンドだって、
皆がやるっていうから…

…学校の友達が
みんな『Azurite』好きなんですよね」




『俺も アズライト好きだよ』





−…わけもなく
ズキンとする

…まるで好きな人に、
告白するみたいな声

この人の声で言われたせいだ
…あんな声で歌う人





「お、男の人って、
みんな『Azurite』
好きですよねー

綺麗だし、当たり前か!

…あんな
さ…才能あって
肌なんか、雪みたいに白くて
反則っていうか

いきなり出て来て、
『はい!合格!』みたいな

悩みとか、全然
なさそうじゃないですか?!」



『アズライトの曲 聞いてて
そう思うの?』


「はい!そう思いますよ」


『傷だらけでしょ あの人、きっと』




− 動悸が早くなる


「……確かに
傷っぽい歌詞、多いですけど
そんなのいくらでも
頭で、考えて
書けるじゃないですか

……文字だけなんだし


友達が言ってたんですけど
ゆーめーなミュージシャンの人達って
結構、いいお家だったり
多いんですよ!

ホラ
傷の歌代表みたいな
『豊川』でしたっけ
あの人、すっごい大金持ちの家で
何不自由無く、
バンドの練習も、親が作ってくれた
家にあるスタジオで
ずっとやってたんですって!
それであんな、荒野に独りみたいな……」




− 影が横を通って


階段を降りて行く音がする