「判った。
うちのベーシストに聞いてみるから
ちょっと待っててね?」
「はい
ありがとうございます!
ユカ よかったね」
「……」
「あ、俺はCheaのドラムスで
赤池っていいます」
「ギターの真木です
彼女はベースの葉山です」
「いた。声かけて来る」
ステージ前の
観客席の黒い床に
メンバーの人達が座っていた
…耳元で話してくれてる
頷いて聞いていたベースの人が
こちらを振り向いてお辞儀をしてくれて
立ち上がった
見上げ様に、背が高い
そして手にはベースを持ち
ゆっくり歩いて来た
「はい どうぞ
多少チューニング狂っても
気にしないで
俺ら、1番最後だから」
「は…い
ありがとうございます…」
− 受け取った
凄く重いし、大きい
ベースの人は
また戻って行って
後ろを向いたままの
ガーゼシャツの人の横に
同じ様に座った
赤池さんとマキちゃんが
お辞儀しあって、笑っている
『ストロベリーピンクさん
ステージにどうぞ』
PAから声がかかる
「行こう」
「マキちゃん…
ホントにごめん………」
「過ぎた事はいいよ
とにかく行こう」
肩をパン。と叩かれた


