乗り換えの砂川駅までは
空いていて、楽
四人並んで、楽器を抱えて座った
逆の電車は、
遊園地に行く人達で
すしづめ
− 砂川駅は広かったけど
ホームに降りたら
もの凄い人がいた
電車に乗る時
人に潰された
小さいから
いつもの事なんだけど
これはキツイ
「あ」
ベースが
人と人の間に挟まれて
身動きがとれない
制服とか入ってる
スポーツバックも持ってる
どんどん奥に押し込まれて
泣きそうになる
「すいません」
− 声がして −
誰かにベースごと引っ張られて
目の前に手摺りがあった
「ベース よこして」
「…え 」
細くて、背が高い
前髪が長くて、目はわかんない
鼻は高くて
唇が薄い
白い無地
長袖のガーゼシャツ
胸が目の前にある
− 男の人 ?−
左肩からベースを外して
彼が立ってる後ろの
座席とドアの角に、置いてくれた
自分もゆっくりそこに
もぞもぞして移動する
− ベースを掴んだ
次の駅に、すぐなって
自分達がいるとこの、ドアが開いた
− そこで彼は
降りてしまって
あっという間にドアが閉まって
あっという間に彼も
見えなくなってしまった
最後に見えたのは
黒いブーツ


