車に
エンジンがかかる
「ベース貸して、後ろに置く」
「あ!はい
ありがとうございます!」
スポーツバックも
後ろに置いて貰って
シートベルトをする
うまく出来なくて
カチャカチャやってたら
青山さんが、はめてくれた
クーラーの音
「あ、煙草平気?」
「はい お父さん吸ってますから」
カーっと、
運転席側の窓が開いて
青山さんは
ハンドルに両手を置きながら
煙草を出して、
口にくわえる
カチャっと
ジッポライターに火がついて
煙草の先が
朱く、染まった
…楽器弾く人の手って
似ている気がする
細い煙が、一回戻って
窓の外に また流れて行った
−青山さんの目も
どこか遠くを 見ている


