緊張する… A階段について、いざ早川君の前に立つとさっきの決心が嘘のように言えなくなってしまう。 私の弱い心がジャマをする。 顔を下に向けているから、彼を視界にとらえることは出来ないけど、きっと何も言わない私に呆れて いるに違いない。 せっかくここまで来たのに。どうしよう… 「大沢さん、ゆっくりで大丈夫だよ。言いたいこと、言ってみな。聞いてるから」 早川君の言葉に顔を上げると、彼はいつものようにあの優しい瞳で私を見ていた。