アラビアンナイト

【奏太said】


それは昼のバーベキューの時同様、俺の目の前に座る真田の愚痴を聞いていた時だった。

昼に火起こしで散々手のひらを木の棒と擦り合わせた真田は、できた擦り傷を風呂の湯に浸けたら激痛が走ったとかなんとか…とにかくブーブー言っている。

俺はそれを半分聞き流しながら、ぼんやりと空いている隣の席を眺めながら座っていた。

昼間にジェイクとありすの間に何かあったのは誰の目にも明らかだけど、ありすの様子からして良いことではなかったのは確かだ。

ありすがジェイクのものになるのは耐えられないけど、あんなふうに泣くありすをみるのもいたたまれない…。


テーブルの上には夕食の焼き魚定食がすでにスタンバイしていて、嗅覚と腹の虫を刺激しまくっている。

食堂は空腹に耐えかねた男子生徒のブーイングと、いつでもどこでも繰り広げられる女子トークとで相当騒がしくて、真田の話を聞き流している俺には都合が良いくらいだった。

そんな俺の耳に届いた少し種類の違うざわめき。

一瞬、やっと食事にありつける合図が出たのかと思ったが、まだ全員が揃っていないのにそれはないか…とすぐに思い直した。

そして "じゃあ、このざわめきは何が原因だ?” と疑問に思って顔を上げた瞬間、目に飛び込んできた光景。