アラビアンナイト



「も〜〜〜!!」

おでこをさすりながら立ち上がると、健太は私よりも素早く立ち上がって、あっという間に自販機コーナーから出て行った。

出て行きながら、

「まぁ、前も言ったけど、お前の味方はたくさんいるから心配するな。どーんと当たってこい!!」

健太のくせに爽やかな笑顔で親指を立ててこちらに向けると、そのまま歩いて行ってしまった。

「む〜、健太のくせに!」

私がおでこに手を当てたままむくれていると、くすくす笑いながら忍ちゃんが言った。

「彼、本当にいい人ね」

「いい人〜?健太が!?」

意外な一言にびっくりしてしまう。