目的の建物の明かりだけを頼りに、暗闇の中を一気に走った。

何度かつまづいてヒヤッとしたけど、なんとか転ばずにたどり着けた。

建物の正面から少し外れた薄暗がりで、周りに誰もいないことを確かめてから裏手に回った。

そこには裏口があって、扉の上には非常灯が灯り、そのそばには非常階段があった。

扉と非常階段の間くらいのところで斧田さんと、もう1人、女の子が立っていた。

「お待たせ」

私が声をかけると、ヒソヒソと話していた2人がハッとしてこちらを向いた。