「部屋に戻らなきゃ…」 誰に言うわけでもなく呟いた声は、誰もいない非常階段に消えていった。 胸のあたりはさっきとは打って変わって苦しくて苦しくて無性に泣きたくなった。 でも。 気持ちは泣きたくてしょうがないのに、涙はじわっとも浮かんでこなくて、なんだったら逆にカラカラに乾いていくかのようで。 ここで可愛く泣けちゃうような女の子なら良かったのにって思いながら部屋まで歩いた。