アラビアンナイト



ありきたりな言い訳をする先輩を一瞥すると、ジェイクはそのまま真っ直ぐに私に向かって歩いてきた。


「だいじょぶ」

少し屈んで私に視線を合わせて言ったそれは、

「大丈夫?」って聞いたわけではなくて。

「もう大丈夫だからね」って安心させようとするニュアンスの一言。


…揺るぎない、絶対的な「大丈夫」という言葉。

知らないうちにギュッと体に力を入れていたのが、ホッとして抜けていく。