『性格に裏表があるっていうのとは、ちょっと違うみたいね』

忍が誰に言うとでもなくつぶやいた。

『ジェイク様は、御自分が周りからどのように見られているかをよくご存知です。
同じように、周りからなにを期待されているのかも』

悠々と歩くジェイクの後ろ姿を見つめながら、セリムが静かに答えた。

『だとしたら、見た目も能力も含めて自分の魅せ方をよくわかってるってことね。
まるで1つのブランドみたい』

感心したように返す忍に、

『そうですね。それは良い例えかもしれませんね。
…ジェイク様は得難い才をお持ちです。
私は生涯をあの方とともに歩みたいと思っています』

真剣な声音でセリムが言った。

『あら、すごい惚れ込みようね』