彼は再び何かを言おうとしたみたいで少し口を動かしかけたけれど、途中で止まって、今度は口を閉じてしまった。 それから、もう一度私の所へ戻ってくると、今度は私の手を掴んでから窓に向かって歩き始めた。 私はというと、男の子に突然手を掴まれてびっくりしたのと、なんだか恥ずかしい気もして、自分より頭ひとつ分は背の高い彼の整った横顔を斜め後ろから見上げながら、無意識に足を進めていた。