「しおちゃん…………」

少し、涙が流れてきた。
海。
あたしは、手すりに手をかけて、あの、広い海を眺めている。
これは、あたしの癖。
嫌なことがあると海に来て。
ずっと、眺めているんだ。

あたしは、なんの為に『畠中和泉』になったの?
あのまま、『佐藤泉』でいたかったのに。
あたしは、普通人がいてはいけない境界線上にいる。
あたしは、あの時死ぬべきだったのかな?