その日は、塾だった。

「ここから、はみ出さないでよ。」

そう言って、隣の子は、あたしとの間に筆箱をおいた。
彼女いわく、『境界線』だとか。

くだらない。

しかも、彼女は、さらに隣の子と
手を組んで、あたしの自由を奪った。

「泉、あんた、許さないよ。」


そう。
あたしの本当の名前は、佐藤泉。
畠中和泉じゃ、ないんだ。

許さないよ。
あたしより、馬鹿なくせに。
許さないよ?