名菜のおかげで俺はそこまで落ち込むことはなかった。そもそも怜香の気持ちだって最初からわかっていたし。

だけど初めて現実を突きつけられた怜香のことは心配になった。


ラインしてみようかとも思ったけど、それこそ怜香も一人にしてほしいって思っているかな。


そう思った瞬間に怜香からラインが来た。


『いっくん今日はありがとう。もう大丈夫だから心配しないでね』


そうだった。怜香は昔から本当に強かったんだ。

負けず嫌いで人前では決して涙を見せない。


俺は悩むとどうしても後ろ向きになってしまうから、怜香のそういう強い部分が昔から羨ましかった。

多分好きになったのもそういうところ。


普段涙を見せない怜香は今日俺の前で涙を流した。

そういえば4年生の時に最初に学級委員長になったのは、怜香の推薦だったんだ。


怜香は俺のこと昔から変わらずに信頼くれているんだ。

それがわかったことに、ちょっとだけ照れくさくなった。