だけど、名菜の顔を見ただけで多少は心が軽くなった。


……ほんとに多少だ。俺よりゲームを優先したんだから。


それでも次の日になって、名菜が元気になった俺を見ると、

「わたしが頭をなでたから治ったんだね!ほんとによかったー」

とか言ってたから少しは心配していたみたいだ。


朝はいつも通りに神社に行った。

一瞬でも亜季を抱こうと思ったことで、澤口さんに対して罪悪感はあったけど、それよりも無性に会いたかった。


そこには澤口さんがいて、いつもの時間が流れてて、意味もなく安心した。


「おはよう、丸尾くん。……気のせいかもしれないけど、何かあった?」


彼女は俺の何を見てそう思ったのだろうか。


「何もないよ。なんで?」

「気のせいみたい。何か目の雰囲気が違う気がしたから」


そんなつもりはなかったのに、気が緩んだせいか涙が出た。


「丸尾くん?大丈夫?」


立ち上がった澤口さんを、気がついたら俺は抱きしめていた。