俺が通う岬中学校の生徒は、岬小学校の卒業生が6割、岬北(みさききた)小学校の卒業生が4割で構成されている。


岬小学校を出ている俺はクラスの半分以上が小学校もしくは幼稚園からの付き合いになるわけで、変な話なんだけど幼なじみだらけ。


だからなのかもしれないけど、俺が委員長をやることも皆の中では暗黙の了解みたいになっていて、今更それが変わったりすることがないんだと思う。

兄ちゃんがまだ委員長をやっているあたり、それは高校に入っても続くんだろう。


「いっくん、よかったね。学級委員連続記録が途絶えなくて」

「はいはい、おかげさまで」


いっくんっていうのは俺のあだ名。言っておくけどギターは弾けない。


「きっと名菜ちゃん喜んでくれるね」


今話している相手は、小学校3年生から今年まで同じクラスの村田怜香(むらたれいか)。


彼女との付き合いはほんとに小さな頃から。俺と同じ岬町2丁目に住んでいて、家族同士の親交も深い。怜香のお父さんは漁協に勤めているんだ。