学芸会の本番では、お父さんもお母さんも来てくれました。

暇人のいく兄も来ました。いく兄はお父さんにこき使われて、ビデオ係をしていました。

あの人は受験生だというのに、勉強しなくてもいいのでしょうか。


ステージに立つと、すぐにその三人を見つける事ができたので嬉しかったです。


だからわたしはますます張り切って乙姫様をやりました。

そしたら踊りのときに、亀役の裕貴くんの甲羅につまずいて転んでしまいました。


だけどアドリブで乗り切りました。


「まあ、のろまな亀よ。あなたがそんなところにいるから、わたしが転ぶんじゃない!

アナタ責任とってもらえるのかしら?」


亀の裕貴くんは機転がきかないので、あいまいな感じでうなづきました。

だからわたしは、

「召使い、聞いたかしら。こののろまな亀、住み込みで働くってよー!」


と言ったら、観客もうちの家族も大笑いしてくれました。

あとから裕貴くんに「お前、ありえない」って言われたけど、先生は喜んでいたし、とっても楽しい学芸会でした。