週に一度ある母さんの夜勤の日は、晩ごはんの支度を郁がして、朝ごはんと弁当の用意を俺がする。

両親は『たいよう』で給食を食べるから、弁当が必要なのは俺と郁だけ。


こうして週に一度は特に早起きをしてご飯支度をするのだけど、起きるのが早い名菜も朝ごはんの支度を手伝ってくれたり邪魔してくれたり。


今朝も弁当箱に詰めるウインナーが一本足りなくて、ふと名菜の方を見るとなにやら口をもぐもぐさせていた。


「また勝手に食べて。朝ごはん名菜のウインナー減らすからね」

「ごめんなさい。でもお腹鳴っちゃって我慢できなかったんだもん。朝ごはんは納豆で我慢するから許して」


「しょうがないな。ほら、父さん達起こしておいで」

「アイアイサー」


元気いっぱいで食いしんぼうの名菜は我が家のアイドルだ。末っ子で男兄弟の中に女の子が一人だからなおさら。

つまみ食いの癖は直らないけどいい子に育ってくれていると思う。


少なくとも祥平よりは手がかからない子だと俺は思う。