俺様副社長のターゲット

私は大きな溜め息を吐いた。



「わかった。」


「なら、来月から宜しく。」



右手を出してきた尚輝。私は10年振りに触れた尚輝の手を握り返した。


尚輝が私に背を向けて停車する車に向かう。尚輝は高校時代も家まで送ってくれていたのを思い出した。



「朱里、逃げるなよ。」


「わかってる。」



手を振る尚輝に私も手を振り返した。


車に乗り込んだ尚輝が家の前から姿を消した。



「10年振りか………。」



私の一人言が誰もいない道路に呟かれた。