海外事業部との親睦会も終わり、私達は帰ろうと店を出た。



「朱里!朱里!」



店内から聞こえた声に店の入り口を見た。



「真純(ますみ)?」



同期で一番の仲良しだった真純が立っていた。手招きをする真純に近付く。



「帰るの?一緒に飲まない?」


「あっ、どうしようかな。ほら、会社の人と来てるから。」


「煌太、機嫌が最悪だよ。彼女なんだから何とかしてよ。」


「うっ、でも。」


「煌太、朱里が佐伯商事に行ってから機嫌が悪いんだよね。」



真純と話していれば、隣に人が立つ気配がしてチラリと見た。



「副社長。」


「どうした?二次会はどうする?」


「あっ、うん。」


「朱里、煌太はいいの?怒ってるよ?」



真純の言葉に副社長がチラリと真純を見た。にっこりと微笑んだ副社長に真純の頬が染まる。



「悪いね、まだ仕事なんだ。松井さん、借りても?」


「えっ、あっ、はい。」