「ゔっゔぁぁーー!!」

黒いスーツを着た細身の男が苦しみに耐えられずに悲鳴をあげている
その手にはナイフが刺さって眼は潰されている
男の心臓には一輪のバラが刺さっている
そのバラは茎まで血を吸って紅くなっていた

「まだ、まだこんなんじゃ
あの人に会えませんね。もっと彼女にとって不要な物を取り除かなければ」

少年の口元は真一文字に結ばれている
一見無表情だが、その瞳にはこれから会う少女に輝いていた


「待っていてください、イヴ」

少年は目の前のものが死ぬのを見送ると
夜の闇へ入って行った