階段を登り
私達の教室のドアを開ける
優樹がいきなりドアを開けるものだから
クラスメイトたちからの視線を
一気に受けるはめになった私
「優樹、びっくりさせんなよ。
田中かと思ったじゃねぇか」
優樹に話しかけていたのは
佐伯 翔saeki shou
優樹の親友で
私達の幼馴染でもある
そして田中とは私達の担任のことだ
時刻は8時28分
確かに担任が来てもおかしくない時間だ
「あー、わりぃ」
そっけなく優樹は答える
すると
「優樹くん冷たーい。
俺ら親友だよな?
昔は翔くん翔くんって言いながら
俺の後ろを
ちょこちょこついて回ってさ
あの頃の…」
また翔の昔話が始まった
こうなると止まらなくなるのが
こいつの悪い癖だ
だが優樹はそんな翔を無視して
席につく
「小学校の入学式とかさ…」
未だに話し続ける翔だが
優樹は気にしてない様子
先に言っておくが
翔は話を盛りすぎている
優樹が翔のことを"翔くん"なんて
呼んだ事なんて一度もない
ちょこちょこついて回っていたのは
もちろん翔の方だ
そんなことを思いながら私も席に着く
