「って、言って欲しいのか?加藤は」
「!」
キィッと音を立て、沢先生は椅子に深く座った。
「俺を煽って、何を言わせたい」
ヤスの思惑がわかっていたらしく、沢先生の目つきが険しくなる。
「煽られたんで、煽り返しただけ。最後のだけね。他の質問には答えてくれますよね?」
いじわるそうな笑顔でヤスが言う。
「ヤス…」
ハラハラするような空気に、堪えれなくなりそう。
ヤスの制服の袖を引っ張るが、何の反応もない。
「ヤスっ」
我慢できなくなり、少し声を張って名前を呼んだ。
「…じゃあ、永井がハッキリさせる?」
ドクン。
ヤスの冷たい声。
「え…」
初めて聞いたヤスの冷たい声に、引っ張っていた制服の袖から手を離す。
「俺は永井に想いを伝えた。その想いに、永井も答えてくれたと思った。違うの?」
ドクン。
さっきよりもさらに冷たい声、見下ろされる視線も冷たく感じる。
「…っ」
こんなヤスは初めて見た。
ドクン。
ドクン。
視線が怖くて、逆に目を反らせない。



