ほぼ何も喋らないまま、学校に着いた。
遅刻しなくて良かったけど、緊張したー…
下駄箱で上履きに履き替える。
「じゃあ…ヤス。授業頑張って」
これ以上ヤスといると、心臓がもたない。
ヤスと教室が反対方向のため、下駄箱で手を振り別れを告げる。
「永井、まだ教室行かないよ?」
「え?」
ヤスに向かって、手を振っていた動作が止まる。
まだ教室行かないって…
「だって、教室行かないと授業遅れちゃう…」
「その前に寄るところあるから。来て」
ヤスに手を繋がれ、どこかに向かって歩き出す。
「ヤス、どこ行くの?」
「んー…」
聞いても答えてくれない。
教室とは違う校舎へと向かっている。
「…え…」
徐々に、ヤスが向かっている場所がわかってきた。
夏休みに何度も…
毎日のように通った場所ー…



