心臓がドキドキしている。 「行こう、永井」 「え?」 ヤスが前を向いて歩き出そうとしている。 「学校遅刻しちゃうよ?」 「え…あ!そっか!!そうだね」 そうだ、今は学校に向かっている途中だった。 忘れていたことに恥ずかしくなり、顔が赤くなってしまう。 「行こう。本当に遅刻しちゃう」 再び並んで歩き出す。 「…」 さっきよりもさらに会話が少なくなる。 ドキドキ。 心臓はうるさいぐらい。 ¨沢先生には渡せない。永井は俺がもらう¨ ドキドキ。 さっきのヤスの真剣な表情が頭から離れない。