「何だ?てか…早く教室に行きなさい」
沢先生は背を向けたまま、喋る。
「俺の親、お互いに好きな人できたって離婚してるんだ」
…ヤス?突然何をー…
「離婚の理由知った時には、長年一緒にいれば他に好きな人もできるよなって思った」
沢先生は背を向けたままのため、ヤスの話を聞いているかわからない。
「けど、今はそれが間違ってるんじゃないかって思ってる。結婚したいぐらい相手を好きになったんだろ?永遠の愛を誓ったんだろ?他の奴に、よそ見してんじゃねぇよ」
ヤスの言葉を聞いて、沢先生の背中が微かに動いた。
「…って、今なら親に言えるけど。俺のところは、もう離婚してるから言っても意味がない」
ヤスが溜め息混じりに言った。
「けど…まだ、間に合うんじゃない?」
「!」
「行こう、永井。本当に、授業欠席になっちゃう」
再び、ヤスに手を引っ張られる。
「…うん」
私の代わりに、ヤスが言ってくれた。
もう一度、準備室から出る瞬間に沢先生を見た時も、変わっていなかった。
ずっと窓の外を見たままだった。
ヤスの言葉を聞いて、どう思ったのかー…
私にはもう、関係ないことだけどー…



