「…俺がいるのを忘れるなよ」
「!」
ヤスを見上げていた顔を、沢先生の方に向けた。
そうだ…
忘れてたわけじゃないけど、沢先生もいたんだ。
慌てて、自分の手で涙を拭う。
「ふ……良かったな、永井。今度は幸せになれよ」
笑みを含めそう言った、沢先生。
「…はい」
沢先生からそう言ってもらえるなんてー…
「沢先生に言われなくても、幸せにしますし、大切にしますよ」
「!」
ぐいっと、隣にいるヤスに肩を抱き寄せられる。
「そうか…はいはい。じゃあ、そろそろ教室戻れよ。授業…って、もう始まってるじゃねぇか」
沢先生が壁に掛けてある時計を見て、驚いている。
「まぁ、今の時間なら欠席にはならないだろう。ほら、早く教室戻れ」
沢先生が椅子から立ち上がり、しっしっと準備室から出て行くように促す。
「行こう、永井」
「!」
ヤスに手を引っ張られ、準備室の扉に向かう。



