「………ん、目、覚めたか?」

「………え?」

眼を開けると、一番初めに映ったのは、悠矢君の顔だった。

「ああ、お前倒れたんだよ。だから、家まで運んで来ただけ。」

「ありがとう…………。悠矢君、迷惑かけてばっかりでごめんね。」

今日はさっきから、悠矢君に迷惑ばかりかけてしまっている。

「いや、いいんだよ。じゃあ俺はもう帰るから。」

「あ、うん………。ありがとう。」

泊まって行けば?

その一言も言えない。

貴方が好きです。

その一行も言えない。

何時も通り、何も伝えることは出来ない。

悲しい、切ない、そんなマイナスの気持ちが頭と心で渦巻く。

でも、いいんだ。

君を見ていられるだけで。

君が笑っていてくれるだけで。

溢れる涙を拭いながら、私は微笑んだ。

君の笑顔を思い出しながら。