どのくらい、経ったのだろう。

聞こえていたサッカー部の声も聞こえなくなり、外は暗くなっていた。

両親が心配していることはない。

私の両親は、世界中を飛び回って、何時も家にいない。

だから、その心配はないのだけど…………。

「………はぁ…………。」

熱が、出たようだ。

立ち上がることも億劫で、そっと目を閉じる。

バタバタバタ……………

「誰か、いるの…………?!」

パタ、…………。

「誰かいるのか?」

「あ、開かなくなっちゃって………。」

ガチャ

「………葉月?!」

「悠矢君………!」

億劫だったのに、反射的に立ち上がる。

ガラリと開いたドアの向こうには、なんと悠矢君がいた。

「悠矢君、なんで此処に?」

「いや、ちょっと忘れ物しちまって…………。」

「そうなんだ………。あ、そうだ、あの………。」

「ん?どうかした?」

勇気をだして、言葉を伝える。

「ありがとう。開けてくれて。」

「なんだ、そんなこと。お礼なんて言わなくていいのに。」

「………ぅ………。」

一瞬、熱があることを忘れてしまっていた。

会話を続け、立っていたことが原因だろうか。

眼前に床が近づいてくる。

床に顔がつきそうになったとき、私の意識が暗闇へと誘われていった。