(タイムスリップなんて創作品の中のものでしかないと思っていたし、簡単に信じられることじゃないけど、でも…。)
「おい!そっちにいたか!?」
「…っ!」
遠くから聞こえてきた男の声に咲耶は肩を震わせる。
(このまま逃げ回っていてもいつか見つかってしまう。でもどうすれば…。
…あ、そうだ。
誰か助けてくれる人はいないかな?
いくら時代が違うって言ったって親切な人の1人や2人いてもおかしくないよね。
同じ日本なんだし。)
咲耶は僅かな希望を抱きぐるりと周囲を確認した。
比較的人通りが少ない道だったが、そこに運良く咲耶と同じくらいの年であろう少年が通りかかる。
(チャンス!)
ぐっと拳を握った咲耶は迷わず少年に声をかける。
「あの、すいません!」
咲耶が声をかけると、少年は驚くように目を見開いた。