シトルイユにくちづけを

「あれ、じゃあどうしたの?みんな、カルアちゃんと喧嘩でもしたの?」


教室の出入り口から、教室中に向かって問うアキ。


確かにいつも周りにいる、女の子の友達もいないし。空気の読めないコイツなら、何かあったのかと純粋に心配しているのかもしれない。


………何かあったのは確かだけど、たぶんアキの想像している何かではない。


ため息をついたカルアに、周りのみんながはっとしたように動き出す。


「何でもないよ、アキ」


「ごめんねカルア、ついつい気になっちゃって…」


「カルアは何にもしてないから、安心して!ね?」


カルアが学校に着いてから5分。好奇の目線は相変わらずとも、さっきのような沈黙に比べたら、十分に過ごしやすい空間に…なったような気がする。


それでも、カルアはこの一瞬で悟った。きっともう二度と、平穏な日々は帰ってこないのだと。