それから、カミツレの編集長である三村桜子さんの計らいで、高卒で花の名社に入社することになったわけだ。そのことについては、美佐枝さんも知っているだろうし、キミがこの手紙を送ってきた宛先がカミツレ編集部だったことにも頷ける。
だから、オレが今何をしているか。その答えは簡単で、月刊カミツレの編集部として忙しない毎日を過ごしているわけだ。
父親が小早川祈念という偉大な作家であることは、オレも受け止めている。三村編集長の元夫であり、常盤公生の息子であることもね。
でも、それはもう関係のないことだ。離婚が成立した以上、小早川祈念とは、血も繋がていない赤の他人だ。もちろん、三村編集長もね。
キミがこんな手紙をよこした理由は、きっと小早川祈念とオレとの間に何かあったんじゃないかとか、そういうことを探るためだったんだろう。
残念だけど、キミは想像力を働かせすぎた。オレは小早川祈念を父親だと思っていないし、小早川祈念もオレを息子だと思っていなかっただろう。
小早川祈念、あいつは仕事仕事でオレや母親のことなんて一つも愛しちゃいなかったからね。



